2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

沖縄を憶う4

先に「罪障感」と書きましたが、それは「沖縄を捨石にして生き延びた後ろめたさ」ということです。もちろん、戦後10年目の生まれである私にこのような感情を抱かせる直接的で具体的な体験があったはずはありません。それは私の母親の言動から自然に影響を受…

沖縄を憶う3

慌ただしく終わった沖縄旅行でしたが、二十歳前後に訪れた沖縄の印象は色褪せず、沖縄に関する本を手に取ることが多くなりました。柳田国男の『海南小記』や谷川健一の『孤島文化論』は沖縄の旅を追体験させてくれました。伊波普猶や金城朝永ら沖縄出身の研…

沖縄を憶う2

那覇港を夕刻に出航した船は翌朝石垣港に着きます。甲板で一晩を明かし、目覚めると、石垣島のオモト嶽の山容が目に飛び込んできました。潮風に顔を打たせながら望み見る島の姿が次第に大きくなるにつれ、胸の高鳴りを覚えるのは海の旅の醍醐味の一つです。 …